口内炎ができると、痛みがつらくて食事やしゃべることも億劫になってしまいますよね。
特に歯列矯正中は、装置がつねにお口の中に入っているため口内炎ができやすいです。
できるだけ口内炎に悩まされずに快適な矯正生活を過ごしたい方のために今回の記事では、口内炎の正しい対処法と予防策を解説します。
おすすめの矯正方法についてもお話ししていますので、これから矯正を始めたいと思っている方にとっても参考になります!
歯列矯正中にできやすい口内炎の原因4選
個人差はありますが、歯列矯正をはじめると口内炎ができやすくなる人が多いです。矯正治療中に口内炎が増えてしまうのには、主に以下の4つの原因があります。
- 矯正器具が当たる
- 食事・ストレス・睡眠不足
- アレルギー
- その他
詳しく解説します。
①矯正装置が当たる
矯正中の口内炎で多い原因が、矯正装置が口の粘膜に当たったり、頬や唇を噛んでしまって傷がつくこと。傷に雑菌が入って炎症を起こすと口内炎になります。
このように物理的な刺激が原因となって発生する口内炎を「カタル性口内炎」と言います。
特に矯正装置をつけた最初の1~2週間は慣れていないためにもっとも口内炎ができやすく、10日程度で治癒することが多いです。1~2ヶ月して矯正装置に慣れてくるとともに、痛くないお口の動かし方がわかったり、粘膜自体が強くなって口内炎の頻度は減っていくでしょう。
カタル性口内炎の特徴は以下の通り。
- 炎症の境目がはっきりしない
- 粘膜が赤く腫れたり斑点ができたり、白っぽくなる
- ザラザラしている
- 水ぶくれができる
- 唾液が増えて粘っぽくなる
- 口臭がある
- 口の中が焼けるような感じがする
- すっぱいものや辛いものがしみる
- 味覚を感じにくくなる
②食事・ストレス・睡眠不足
矯正中だけでなく、日常的にもっとも起こりやすいのが疲労や体調不良、ストレスなど免疫力の低下が原因の「アフタ性口内炎」です。
矯正治療を始めると、装置の違和感や歯が動く痛みから、食事が偏って栄養が不足したり、寝不足になって免疫力が下がることがあります。そのように身体が弱っているときに矯正器具が当たって傷ができると、細菌感染も起こしやすくなります。
通常であれば1~2週間ほどで治癒することがほとんど。
アフタ性口内炎には、以下のような特徴がみられます。
- 境界線がはっきりしている
- 直径3~7mm程度の丸い潰瘍
- 周りが赤く、中が白っぽい
- 小さなものが2~3個群がって発生することもある
- 熱いものや刺激物で痛みが強くなる
- 初期は痛みを感じない場合も
③アレルギー
矯正装置やかぶせ物に使われている金属に反応して「アレルギー性口内炎」を発症することがあります。
アレルギー性口内炎は、金属が触れている部分を中心に赤く腫れることが特徴。手足や首に腫れやかゆみが生じるケースもあります。
金属アレルギーのある方は、通常のワイヤー矯正を選ばないほうがよいこともありますので、必ず事前に歯科医師に相談しましょう。場合によってはパッチテストを行ってから治療を始めることも。
関連コラム:金属アレルギーの方の歯列矯正を徹底解説!リスクや気を付けるべき事を分かりやすくご紹介します
④その他
お口や装置の不衛生
お口の衛生状態が良くないと、本来お口の中に常在するカビ(真菌)の一種であるカンジダ菌が繁殖して「カンジダ性口内炎」を引き起こすことがあります。
その特徴は、白い膜のような見た目で簡単にぬぐい取ることができます。はがすと赤く腫れたり出血することも。痛みはほとんど感じない人もいればヒリヒリした痛みを伴うこともあります。
カンジダ性口内炎は義歯性口内炎とも呼ばれ、主に入れ歯(義歯)の不衛生によって発生することが多いです。
健康な人が発症することはまれですが、矯正中にもお口の中や矯正装置が汚れた状態でいると、カンジダ菌が増殖する可能性はあります。特にマウスピース矯正のマウスピースは、食事の際に必ず取り外し、丁寧にお手入れするようにしましょう。
カンジダ性口内炎が発生した際には、抗真菌薬の投与が必要になります。
関連コラム:矯正用マウスピースの正しいお手入れ方法!臭いや変色が出た時の対策もご紹介
ウイルス感染
ヘルペスやクラミジアなどのウイルスに感染して口内炎ができることもあります(ウイルス性口内炎・ヘルペス性口内炎)。
免疫力が下がっている時に発症しやすいです。
ノドの奥や歯ぐきにできやすく、水ぶくれができて、破れるとかさぶたになったり激しい痛みを伴うことも。また、38℃前後の発熱やリンパが腫れるなど風邪と似た症状が現れることもあります。
ウイルス性口内炎は、抗ウイルス薬で治療します。発熱は数日でおさまりますが、口内炎が治るまでは7~10日ほどかかるでしょう。
【矯正装置別】口内炎の要注意ポイント
歯列矯正中の口内炎は、装置によってできやすい場面が異なります。
表側ワイヤー矯正
ワイヤー矯正はブラケットと呼ばれる歯の表面につける装置のデコボコが大きいため、粘膜に当たってこすれると口内炎ができやすいです。
また、真ん中の太いワイヤー(アーチワイヤー)が歯列の一番後ろから飛び出してしまったり、ブラケットにアーチワイヤーを固定するための細い金具(結紮線)がでっぱっていると高確率で傷ができます。
歯の表側に装置をつける表側ワイヤー矯正の場合、直接装置が当たる唇や頬の内側が好発部位。
一度できてしまうと会話や食事のたびに装置がこすれるため、通常の口内炎に比べてなかなか治りにくい傾向があります。
裏側矯正(舌側矯正)
歯の裏側にブラケットやワイヤーをつける裏側矯正も、装置がこすれたりワイヤーが飛び出るリスクは表側ワイヤー矯正と同様です。
さらに、歯の裏側は唾液と触れ合う機会が多かったり、食事の際に食べ物が当たるため、ブラケットが歯の表面からはずれてしまいやすく、はずれたブラケットで傷をつくってしまうことも。
裏側矯正では、圧倒的に舌に口内炎ができやすいです。特に装置に慣れるまではどうしても舌で矯正装置をいじってしまいたくなることも理由の一つ。
マウスピース矯正
マウスピース矯正で使うマウスピースは厚さがわずか0.5~0.8mm程度で、素材も柔らかく刺激が少ないため、ワイヤー矯正に比べると口内炎ができにくい傾向です。できるだけ口内炎の痛みに悩まされたくないという人には、マウスピース矯正はおすすめの方法です。
とはいえ、全く口内炎ができないとは言い切れません。
マウスピース矯正では、マウスピースの縁が歯ぐきや舌、頬・唇の内側に当たって口内炎ができることがあります。
また、マウスピースの着脱の際にマウスピースや爪で歯ぐきを傷つけたり、誤って粘膜を挟んでしまう可能性も。
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口内炎の正しい対処法
歯列矯正中はどうしても口内炎ができやすいですが、少しでも早く痛みを和らげるため、正しい対処方法を覚えておくと安心。
ポイントは以下の5つです。
- 刺激しない
- 矯正用ワックスをつける
- 装置を調整してもらう
- 薬やサプリを利用する
- お口の清潔を保つ
①刺激しない
まず大前提として、口内炎を刺激しないことです。口内炎を触ったりして刺激をすると、炎症がさらに大きくなったり細菌に感染して悪化する可能性も。
指や舌で触らないことはもちろん、食事の際にも刺激をしないように注意しましょう。口内炎のない側で噛んだり、カレーなどの香辛料や辛味・酸味・塩味の強い食べもの、熱いものの摂取は避けたほうが良いです。
また飲酒や喫煙も口内炎を刺激するので控えましょう。さらに、アルコールやタバコは体内のビタミンを消費・破壊してしまうため、余計に口内炎を悪化させる恐れも。健康や美容のためにもおすすめしません。
②矯正用ワックスをつける
矯正用ワックスとは、無味無臭の半透明の粘土のようなもの。ブラケットやワイヤーが当たって痛むときに、装置側に貼り付けることによって直接粘膜に当たるのを防ぎ、口内炎の痛みを軽減します。
また、予め痛みがでそうなところにつけておくことで口内炎になるのを防ぐことも可能。
矯正用ワックスは矯正治療をはじめるときに歯科医院でもらえることもありますし、ドラッグストアやインターネットで購入することもできます。
ただしあくまで応急処置。ワイヤーが飛び出ていると非常に危険ですので、なるべく早めに歯科医院で診てもらうのがおすすめ。
③装置を調整してもらう
ワイヤーや結紮線が出ている、装置の辺縁がとがっているなどの理由で口内炎ができてしまう場合は、歯科医院で装置を滑らかにするなどの調整をしてもらうことで、解決できる可能性があります。
注意すべきは、必ず歯科医師に処置をしてもらい、くれぐれも自己判断で勝手に装置をいじることはやめてください。矯正治療は精密に計算されて装置を作成しています。少しでも変わることで計画通りに歯が動かなくなる恐れがあるのです。
また、口内炎の痛みと思っていたのが、実は虫歯や歯周病、その他トラブルが発生していることもあります。定期的に歯科医師に診てもらうことは、治療をスムーズに進めるためにも大切なのです。
関連コラム:マウスピース矯正は月に何回通院する?歯科医院に行ったら何をするの?
④薬やサプリを利用する
口内炎が辛いときは無理をせず、専用薬に頼るのも有効。口内炎の薬には、軟膏タイプ・パッチタイプ・スプレータイプ・うがい薬・内服薬があります。
歯科医院で処方してもらうこともできますが、ドラッグストアなどでも手軽に購入できるのがメリット。速攻力はありませんが、口内炎の痛みを軽減したり、治りを早められる可能性があります。
また、栄養バランスが乱れていると口内炎ができやすく治りにくいため、不足している栄養をサプリで補うのも◎特に、粘膜の健康に関わるビタミンB2やB6といったビタミン群をしっかり採ることで、口内炎の治りが早くなります。
⑤お口の清潔を保つ
口内炎が痛いからといって歯磨きを怠ってしまうと、細菌が繁殖して口内炎が悪化するだけでなく、虫歯など他のトラブルの原因にもなります。
口内炎ができてしまっても必ずお口のケアは忘れずに!
歯磨きの際は、口内炎に直接ブラシの先が当たって刺激しないように、ゆっくり丁寧に行いましょう。患部の近くが磨きづらいときは、タフトブラシなどの小さい歯ブラシを使うのもおすすめです。
また、口内炎があるときは刺激の強い歯磨き粉やマウスウォッシュの使用は避けましょう。
矯正中の口内炎を防ぐために
口内炎は一度できてしまうとしばらく辛いので、できるだけ口内炎の発生自体を予防したいですよね。
口内炎を防ぐには、特別なことではなく日常的にできることが大切!矯正中はもちろん、ふだんの生活でも役に立ちますのでぜひ覚えておいてください。
バランスの良い食事
肌荒れと同じように、偏った食事をしていると粘膜が弱ったり身体の抵抗力が下がって、口内炎ができやすくなります。口内炎改善・予防の近道です
口内炎を防ぐには、皮膚や粘膜の健康にかかわる以下の栄養素が特に大切。
ただし、ビタミンなどは身体の中にずっと貯めておくことができないため、毎日バランスよく摂取するのが口内炎予防の近道。ワイヤー矯正中でも食べやすいおすすめ食材も紹介します。
ビタミンB2
ビタミンB2は、皮膚や粘膜の機能を正常に保ち、新陳代謝を促して丈夫にしてくれる働きがあります。「皮膚や粘膜のビタミン」と呼ばれているほど。不足すると粘膜が薄くなって傷つきやすくなったり、口内炎の治りが遅くなることも。
おすすめ食材:牛・豚・鶏のレバー、サバなどの青魚、ウナギ、納豆、卵、乳製品など
ビタミンB6
ビタミンB6は、免疫機能を正常に保ったり、皮膚の抵抗力を高めてくれます。不足すると口内炎だけでなく口角炎や舌炎、肌荒れや貧血などを起こしやすくなると言われています。
おすすめ食材:バナナ、鶏のササミ、牛・豚・鶏のレバー、マグロ、カツオ、ニンニクなど
ビタミンC
風邪の時にはビタミンCを採るとよいとも言われますよね。ビタミンCは病原体から身体を守ったり、抵抗力や免疫力を高める働きがあるからです。
また、粘膜の炎症を抑え、改善してくれる作用もあるため、口内炎の予防や治療に効果的とされています。
ビタミンCは水に溶けやすく熱に弱い性質のため、できるだけ新鮮な生の食材を摂取したり、調理するときもなるべく火を入れすぎず、汁ごと食べるのがポイントです。
おすすめ食材:パプリカ、ブロッコリー、イチゴ、オレンジ、柿、キウイなど
ビタミンA
ビタミンAは、粘膜を正常に保ったり保湿する作用があります。また、身体の抵抗力を高める働きも。
油に溶けやすい性質があるので、油を使った調理をすると効率的に摂取できます。
おすすめ食材:牛・豚・鶏のレバー、にんじん・かぼちゃなどの緑黄色野菜、うなぎ、バターなど
鉄・亜鉛
鉄や亜鉛も、皮膚や粘膜を正常に保ったり、免疫機能や新陳代謝にも欠かせない栄養素です。
おすすめ食材:牛・豚・鶏のレバー、ひじき、卵、しいたけ、煮干しなど
十分な休息とストレスケア
身体の抵抗力が弱っていると、口内炎ができやすく治りにくい傾向があります。
特に睡眠不足や疲労、ストレス過多の状態は、免疫力低下に直結するので注意が必要。
リラックス効果のあるアロマやハーブティーを飲んだり、寝る前のPC・スマホはやめる、朝日を浴びるなど、良質な睡眠がとれるような工夫が効果的。
また、趣味を楽しんだり軽い運動をするなど、ご自身に合ったストレス発散方法を見つけられるとよいですね。
歯列矯正中は、お口の違和感や食事が食べづらいなどでストレスを抱えがち。時間の経過とともに慣れていくことが多いですが、無理をせずに歯科医師に相談するのも◎
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お口のケアを徹底
口の中が不衛生だと、わずかな傷でも雑菌が入って、口内炎がひどくなってしまう恐れがあります。
特にワイヤー矯正では装置がついているために磨き残してしまいがち。歯ブラシだけでなく、タフトブラシや歯間ブラシ・フロスを使ったり、定期的に歯科医院でクリーニングをしてもらいましょう。
また、マウスピース矯正の場合はマウスピースを装着する前には必ず歯を磨き、マウスピースのお手入れも忘れずに行うことが大切です。
関連コラム:歯列矯正中のフロスは面倒?矯正方法別にフロスのコツと難易度を解説します!
お口を乾燥させない
お口の中が乾いていると、粘膜に傷がつきやすかったり、皮膚の免疫力が低下するため、口内炎になりやすいです。
特にもともと口呼吸の癖があったり、矯正装置のためにお口が開きやすくなっている場合には、意識的に口を閉じるように心がけたり、こまめな水分補給や保湿剤を利用するのも◎
矯正装置の違和感をチェック
矯正装置をつけた時に、粘膜に痛みを感じる場所や強く当たっている部分がないか、お口を動かしてチェックしておきましょう。
心配な部分は予めワックスで保護しておくこともできますし、場合によっては歯科医師に調整してもらえることもあります。
マウスピース矯正の場合は、マウスピースが正しく装着できていないと口内炎ができやすいだけでなく、歯がうまく動かないこともありますので、必ずしっかりと確認を!どうしてもうまくはまらない時は、何らかのトラブルが発生していることもあるので、早めに歯科医師に連絡しましょう。
関連コラム:マウスピース矯正で歯が動かない?どうしたら動く?原因と対処法を解説!
口内炎ができにくい矯正方法を選ぶ
さまざまな矯正方法の中でも、マウスピース矯正は、弾力性のある柔らかい樹脂でできているマウスピースを使用するため、比較的口内炎や傷ができにくい傾向があります。
また、いつも通り食事や歯磨きができるので、栄養バランスやお口の衛生も保ちやすいです。
さらに適宜マウスピースをはずして口内炎のケアもできるため、治りが早いというメリットもあります。できるだけ口内炎の痛みに悩まされたくないという人には、マウスピース矯正はおすすめの方法と言えます。
※マウスピースをはずしている時間が長いと歯が動かずに、治療が進みません、くれぐれも一日の装着時間は守るようにしましょう。
関連コラム:マウスピース矯正って痛いの?痛みの原因や対処法、ワイヤー矯正との比較についてもご紹介
歯列矯正中の口内炎について、よくある質問
歯並びが悪いと口内炎ができやすいの?
いつも同じようなところに口内炎ができやすいという方は、歯並びや噛み合わせが原因になっているかもしれません。その場合、歯並びを整えることで口内炎ができにくくなるでしょう。
歯並びごとに口内炎になりやすい理由を以下にまとめます。
【八重歯・出っ歯・受け口・口ゴボ】
出っ張っている歯が慢性的に粘膜を刺激している。口が閉じにくく、乾燥している
【過蓋咬合】
下の前歯が上の歯ぐきに当たって傷になる。上の前歯が唇の内側の粘膜を慢性的に刺激している
【交叉咬合】
噛み合わせが悪い部分で頬の内側を噛んでしまう
【叢生】
噛み合わせの影響で歯や被せ物が一部すり減ってとがってしまうと、頬や舌を傷つけてしまう
まとめ
歯列矯正中は、装置の影響で口内炎ができやすいです。矯正経験者の中には、歯を動かす痛みよりも口内炎の痛みに悩まされたと言う人も。
ですが多くの場合、1~3ヶ月ほどで矯正装置に慣れてくるのに伴って、口内炎のできる頻度も減る傾向があります。
口内炎は日頃からお口のケアや生活習慣を整えることが大切ですが、できるだけ口内炎の可能性が少ない方法で矯正したいという方は、マウスピース矯正を検討してみるのもよいでしょう。
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