永久歯が正常な位置に生えてこず、骨や歯ぐきの中に埋まっている状態を「埋伏歯」といいます。
歯医者でレントゲンを撮ったことをきっかけに、埋伏歯の存在に気づく方も多いです。
埋伏歯がある場合、歯並びにも影響を及ぼしていることもあるため、歯列矯正を検討される声もよく聞かれます。
そこで本記事では、埋伏歯があっても歯列矯正は可能なのか、詳しい治療方法や費用、注意点についてもすべて解説いたします。
埋伏歯とは
埋伏歯とは、何らかの原因で永久歯があごの骨や歯ぐきの中に埋まったままになって、口の中に出てきていない状態のこと。
歯が正常に生えないまま放置すると、本来生える場所だったところがすきっ歯になったり、そのすき間に隣の歯が倒れて歯並びや噛み合わせが悪くなるなど、さまざまなお口のトラブルの原因になることがあります。
さらに、虫歯や歯周病だけでなく、のう胞ができたり炎症を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。
埋伏歯の種類
埋伏歯は埋まっている状態によって種類が分かれ、それぞれによって治療方法も異なってきます。
【深さによる分類】
- 完全埋伏歯(歯ぐきの中に完全に埋まっていて見えない状態)
- 不完全埋伏歯、半埋伏歯(ほとんど歯ぐきに埋まっているが、一部分だけ出ている状態)
【向きによる分類】
- 水平埋伏歯(歯が真横に倒れて埋まっている状態)
- 逆性埋伏歯(歯が逆さまになって埋まっている状態)
埋伏歯になりやすい歯
- 犬歯(生え変わる時期が遅いのでスペースが足りなかったり、歯の素である歯胚の位置異常が起こりやすいため)
- 親知らず(最も埋伏する頻度が高い。生える時期が遅かったり、一番奥にあるので向きなどの異常が起こりやすい)
- 中切歯(真ん中から1番目の歯で、まれに埋伏歯になることがある)
- 下顎第二大臼歯(真ん中から7番目の歯で、まれに埋伏歯になることがある)
- 過剰歯(通常より余分にできてしまった歯であるため、もともと生えるスペースがなく、埋伏しやすい)
結論:埋伏歯があっても歯列矯正は可能
埋伏している歯があっても、歯列矯正を行うことは可能です。ただし、埋まっている歯の状況によって通常の歯列矯正とは異なり、追加の処置や治療期間が必要になることがあります。
埋伏歯がある場合の矯正方法
埋伏歯がある場合の矯正方法の追加処置としては、主に抜歯や牽引(けんいん)を行うことが多いです。それぞれ解説します。
※ただし、どのような治療を行うかは埋伏歯や歯の根の状態、他の歯や歯並びの状況によって異なります。必ず抜歯や牽引を行うとは限らないため、専門の歯科医師の診察を受けましょう。
①抜歯
埋伏歯が親知らずや過剰歯の場合、矯正治療前に抜歯をすることがあります。また、逆性埋伏歯や、埋伏歯があごの骨と癒着してしまって引っ張り出せない場合など、埋まっている位置や向き、歯の根の状態などによって抜歯になるケースも。
他にも、埋伏歯が生えるはずの場所に乳歯が残っていたり、埋伏歯を正しい位置に移動させるためのスペースが不足していたり、歯列全体のバランスや噛み合わせを改善するために、他の歯を抜歯することもあります。
埋伏歯の抜歯の費用は?
埋伏歯の抜歯手術のみであれば、保険が適用されることが多いです。ただし、歯列矯正など自費診療の処置を同時に行う場合や、埋伏歯の状態などによっては保険適用外になる場合もあります。
また、抜歯手術自体は30分~1時間程度で終わり、そのまま帰宅となることが多いですが、手術の難易度などによっては入院、もしくは日帰り入院になるケースも。
費用の目安は以下の通り。
- 検査:約10,000~30,000円程度
- 抜歯:約5,000~15,000円程度
- 入院:一泊あたり20,000~30,000円程度
※歯の状態やクリニックによって異なりますので、必ずしもこの通りとは限りません。
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②牽引(けんいん)
歯の牽引とは、歯の表面に矯正装置を装着して引っ張り出し、歯列に誘導する処置のことです。
牽引は、八重歯などきちんと生えてきている歯にも行われる治療です。完全に埋まっている歯の場合には、矯正装置をつけるために事前に『開窓(かいそう)』という、歯ぐきを切って歯の表面を露出させる外科処置を行います。
開窓術は、矯正歯科で行う場合もありますが、一般歯科もしくは口腔外科に行って施術を受けることも多いです。
完全埋伏歯を開窓・牽引する一般的な手順は、以下の通り。
- 【検査】レントゲンやCTを撮影し、埋伏歯の状態や位置を確認する。
- 【前処置】埋伏歯が出てくるスペースを確保するため、残っている乳歯や他の歯を抜歯したり、矯正装置ですき間を確保しておく。※抜歯や矯正のタイミングはケースによって異なります。
- 【開窓】施術部位に局所麻酔をする。
- 歯ぐきを切開して歯の頭が見えるようにする。※骨の内側に埋まっている場合には、ここで若干骨を削ることも。
- 露出した歯に矯正器具をつける。
- 矯正器具が出る状態で歯ぐきを縫合する。
- 【牽引】矯正器具にゴムやワイヤーなどをつなげ、元に戻ろうとする力を利用して少しずつ歯を引っ張り出し、本来あるべき正確な位置へ移動させる。
この他にも、埋伏歯を引っ張るための固定源として、アンカースクリューを埋入する場合もあります。
一般的には、開窓・牽引の後に歯並び全体の矯正を行うことが多いですが、事前に全体矯正を行う場合もあり、症例によってさまざまです。
関連記事:矯正用アンカースクリューで何が変わる?顔が短くなる?横顔は変わる?歯列矯正を効率的にする秘密をまるごと解説!
埋伏歯の牽引の期間・費用は?
一般的な開窓・牽引の治療期間は半年から1年程度です。
費用については、保険適用外になるケースが多くなります。目安は以下の通りです。
- 検査:約10,000~30,000円程度
- 抜歯:約5,000~15,000円程度
- 開窓術:約20,000~50,000円程度
- 牽引:約50,000円〜150,000円程度
- アンカースクリュー:1本あたり約20,000~¥35,000程度
※歯の状態やクリニックによって異なりますので、必ずしもこの通りとは限りません。
クリニックによっては、これらの費用を矯正治療費全体に含んでいる場合もありますので、事前に確認しておくようにしましょう。
また「前歯及び小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る。)に対する矯正歯科治療」など条件によっては保険適用となる場合もあります。ただし自己判断は難しいですので、矯正医の診断を仰いでください。
埋伏歯の矯正を行う際の注意点
治療期間・費用が多くかかることがある
埋伏歯がある場合、通常の歯列矯正よりも追加でかかる処置が多いため、別途治療期間や費用がかかる傾向があります。
事前に十分確認をしておきましょう。
外科処置のリスク
抜歯や開窓、アンカースクリューなど、外科処置を伴う場合には、術中術後の痛みや炎症を起こす可能性などのリスクも十分に把握しておくことが大切です。
また、全身の状況によっては外科処置ができない場合もあります。全身状態やアレルギーについては、必ず事前に担当医に相談しておきましょう。
歯根吸収や歯肉退縮のリスク
埋伏歯は通常よりも大きく歯を動かさなければならない場合が多いため、歯の根っこが短くなったり、歯ぐきが下がるリスクがあります。
ただし、これらは通常の歯列矯正でも起こりうるリスクであるため、予測が難しい部分にはなります。リスクを最小限に抑えるためには適切な検査のもと、正しく分析・治療計画を立ててもらうことが非常に重要。
専門的な知識と経験が豊富であり、治療についてのメリットやデメリットなどもきちんと説明してくれる歯科医師を選びましょう。
また、ご自身でもきちんとケアをするなど、矯正のルールを守ることも大切です。
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埋伏歯の歯列矯正でよくある質問
埋伏歯の矯正はマウスピース矯正でもできる?
埋伏歯がある場合の歯列矯正は、抜歯や牽引を行うことが多いため、ワイヤー矯正を伴うケースが多いです。
ただし、歯並びによってはマウスピース矯正であったり、マウスピース矯正に部分的なワイヤー矯正装置を使った治療を行える場合もあります。
ご自身の歯並びはどんな治療が最適かを知るには、専門の歯科医師による精密な検査・診断を受けることが必要です。
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埋伏歯が発生する原因は?
永久歯が埋伏してしまう原因はさまざまですが、代表的なものは以下の通りです。
歯が並ぶスペースが足りない
顎が小さい、歯列が狭い、歯が大きいなどの要因があって歯が並ぶスペースが足りないと、あとから生えてくる永久歯が出てくるための場所がなく、埋まったままになってしまうことがあります。
乳歯が適切な時期に抜けなかった
乳歯が早く抜けてしまうと、隣の歯が移動してきたり、顎の骨の成長が正常に進まない場合があります。結果、永久歯が生えるスペースが足りなくなって埋伏してしまう可能性があるのです。
逆に、乳歯が抜けずに残ってしまっている場合にも、その部分の永久歯が生えてくることができず、埋まったままになってしまうということも。
過剰歯
過剰歯とは、通常の歯の本数よりも多くできてしまった歯のことです。上の歯の真ん中(正中)や下の歯の前から4、5番目の歯に発生しやすい傾向があります。
通常よりも多い歯のため、うまく生えてくることができなかったり、生えてきたとしても位置や向きなどに問題がある場合があります。また、過剰歯のせいで通常の歯が出てこれなくなるケースも。
歯の位置や角度に問題がある
永久歯が骨の中で形成されていく過程で、正常に発育しなかったり、位置や角度に異常をきたすことがあり、これが埋伏歯の原因になります。特に犬歯や奥歯で起こりやすい傾向です。
顎の骨の影響
顎の骨が硬すぎる場合や骨の密度が低い場合、骨と歯が癒着している場合などは歯が正常に出てこないことがあります。
外傷
事故などで顎や口に外部からの強い力が加わると、歯の発育や位置に影響を受け、埋伏歯になってしまうこともあります。
お口の悪習癖
指しゃぶりや舌の癖などがあって、お口の中で不正な力がかかると、歯並びに影響を与え埋伏歯を引き起こすことがあります。
まとめ
埋伏歯があっても歯列矯正は可能です。むしろ、埋伏歯の影響で歯並びやお口の健康にトラブルを引き起こす可能性もあることから、早めに対処することで機能的にも審美的にもメリットを得ることができるでしょう。
ただし、通常の歯列矯正に比べると、治療に時間や費用がかかったり、外科処置が必要な場合もあります。
そのため、専門的な知識と技術を持ち、納得するまで十分な説明をしてくれる歯科医師を選ぶことが非常に大切です。
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・矯正箇所が元に戻る(後戻り)場合がありますので、治療完了後は後戻りを防ぐため、保定装置の装着が必要になります。
・装置装着後と通院における装置調整後は1~3日ほど痛みを伴うことがあります。
・歯の移動が大きい症例などには不向きです。
アットスマイル矯正を受けた人の声
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