ワイヤー矯正の写真で、メインのワイヤーの一部が輪っか型や膨らんだお餅(Ω型)のような形に曲げられているのを見たことはありませんか?
この曲げている部分のことを「ループ」というのですが、ただの飾りなどではなくきちんと意味があってつけられています。
今回の記事では、ワイヤー矯正のループの目的や詳しい種類について解説します。デメリットの解決策もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください!
ワイヤー矯正のループの目的
歯列矯正における「ループ」とは、ワイヤー矯正にて用いられる技法です。ブラケットに通す太いアーチワイヤーの一部分を折り曲げて半円状やオメガ(Ω)状にします。そして、折り曲げたワイヤーが元に戻ろうとする力を利用して、歯を引っ張るという仕組みです。
左右対称に作ることもあれば片方のみの場合もあり、歯並びによって作る位置も異なります。
ループには主に以下のような目的があります。
- 歯に加わる力の調整
- 歯の動きの調整
- 噛み合わせを整える
一つずつ説明します。
歯に加わる力の調整
ループを組み込むことでワイヤーのストレスを均等に分散し、歯にかかる力を調整します。その結果、ゆっくりと持続的に力を加えることができるため、歯への負担も軽減できます。
歯の動きの調整
ループの形や位置によって特定の歯や複数の歯に同時に適切な力を加えることができます。それにより、ワイヤー矯正では難しいとされているような上下方向や奥(後ろ側)方向など三次元的に歯の動きを調整することができるのです。
噛み合わせを整える
ループによって特定の歯に特定の方向への精密な力を加えることが可能です。歯並びの見た目だけでなく、噛み合わせのバランスも微調整できます。
ループの種類
ループには多くの種類があります。その理由は、歯並びの状態は非常にさまざまで、個人に合わせたループが必要だからです。主に使われることの多い形状をご紹介いたします。
バーティカルループ
バーティカルループは、細長い半円状に曲げられたループで、主に歯を上下に動かすために使用されます。左右の高さを変えて曲げられていることも。
また、歯を並べるスペースを確保するために使用されることもあります。
Vループ(クロージングループ)
Vループは、V字型に曲げられたループで、特定の歯を前後に動かす目的で使用されます。
まずV字の基底部が予め開いた状態で歯にセットされます。そして、開かれたワイヤーが元に戻ろうとする力を利用して歯を前後に動かすことができるのです。前歯部を後ろに引っ張ったり、抜歯したすき間を埋めるときなどに用いられます。
V字型になっていることで、微細な調整がしやすくなっています。
オメガループ
オメガループは、ギリシャ文字のオメガ(Ω)の文字の形に曲げられたループです。
Vループ同様、基底部を開いた状態で歯にセットし、ワイヤーが元に戻ろうとする力を利用して歯を前後に動かすことができます。
Lループ
Lループは、L字状に曲げられたループで、特定の歯を前後に動かすために使用されます。歯を並べるスペースを確保したり、歯を上下に動かす時の力を緩衝する用途でもちいられることも。
Tループ
TループはT字型の形状をしており、主に歯を上下に移動させたり、歯の傾きを調整するために使われます。T字の形状が歯にかかる力を均等に分散させるのに役立ちます。
ボックスループ
ボックスループは、長方形や正方形に曲げられた形状をしています。
特定の歯を細かく制御しながら動かすことができるため、歯の回転をコントロールしたり、上下方向に移動するのを助けてくれます。
一本の歯だけが歯並びから大きく上にズレてしまっているケースや内側に入ってしまっているケースなどで使用されることが多いです。
マルチループ(MEAW)
マルチループとは、複数のループを組み合わせた構造で、それぞれのループが1本ずつの歯に対応するようになっているため、複数の歯を一気に動かしたり、より精密な移動が可能であるといわれています。主にLループを複数組み合わせるケースが多いです。
マルチループを用いることで、歯が移動できる範囲が広がり、ワイヤー矯正では難しいとされているような上下方向や奥(後ろ側)方向など三次元的に歯を動かすことが可能。
そのため、難易度が高いとされる受け口や開咬、重度の叢生などの歯並びにも対応できるのです。
ループをつけるとどんな効果がある?
ストレートなワイヤーではなく、ループを用いることによって以下のような効果を得ることができます。
- 個人の状態に合わせて歯を並べることができる
- 治療期間を短縮できる
- 非抜歯で治療できる可能性が広がる
一つずつ解説します。
個人の状態に合わせて歯を並べることができる
ワイヤー矯正の治療法には、ストレートワイヤー法とスタンダードエッジワイズ法という2種類のやり方があります。
ストレートワイヤー法は、その名のとおりループを作らずにまっすぐなワイヤーで治療する方法。ブラケットの溝の深さや距離、角度を変えることで、ワイヤーを曲げなくても良いように工夫されているのです。治療の簡便化が図れる一方で、人によっては最適な状態に並べるのが難しい場合もあります。
一方でスタンダードエッジワイズ法では、矯正歯科医が個々の患者さんの歯並びの状態にあわせて、直接ワイヤーを曲げ、ひねりやループなどを組み込んで三次元的に調整していく方法。
個人の状態に合わせたループを作ることで矯正力を緻密にコントロールし、さまざまな症例に対応することが可能です。
治療期間を短縮できる
ループを使うことで個々の歯に別々に力をかけることができます。つまり、複数の歯を同時に最短距離での移動ができるので、治療期間が短縮するケースもあります。
非抜歯で治療できる可能性が広がる
歯を並べるスペースが足りない場合、抜歯をしてスペースを作る場合があります。歯並びにもよりますが、ループを用いることで歯並びのアーチを広げたり、奥歯を後方に下げてスペースを作ることができ、抜歯をしなくても済む場合があります。
また、ケースによってはアンカースクリューなどの使用がいらなくなる場合も。
※歯並びの状態や、患者さんのご希望によっては抜歯矯正やアンカースクリューの使用が必要な場合もあります。詳しくは担当医に相談しましょう。
関連記事:歯列矯正の抜歯は本当に必要?メリット・デメリットや、顔の変化、痛みについて紹介します
ループのデメリット
見た目が気になる
表側ワイヤー矯正の場合、ただでさえ装置が目立ちやすいので、ループがあることでさらに目立ちやすくなったりループの見た目が気になる人もいるでしょう。
特に笑った時に歯ぐきが見えるガミースマイルの場合は、ループも見えやすいので気になってしまうかもしれません。
歯ぐきや頬に当たる
ループの部分が歯ぐきに当たったり、頬の粘膜に刺激を与えて口内炎ができてしまう可能性もあります。
ワイヤーをつけた直後は気にならなくても、歯の移動に伴ってループの位置や角度が変わり、痛みが発生することも。痛みや違和感があれば早めに歯科医師に連絡したり、矯正用ワックスでカバーをするなどの対処をしましょう。
関連記事:歯列矯正中、口内炎に悩まされたくない!効果的な予防法とできてしまった時の正しい対処法を解説!
食べ物がはさまる・歯磨きがしづらい
ループの部分には食べ物がはさまりやすく、特に繊維質のものやお肉などは一度絡まると取るのが非常に大変。とはいえ放っておくと虫歯の原因になったり、歯ぐきを圧迫して口内炎ができてしまうこともあります。
普通の歯ブラシでは歯ぐきを傷つける危険もあるため、歯間ブラシやタフトブラシなどを使って優しく丁寧に磨くようにしましょう。
関連記事:歯列矯正中に食べれないものとは?オススメの食べ物や痛いときの対処法についても解説!
調整に時間がかかる
ループを用いたワイヤー矯正の場合、ループを含めたワイヤー全体の調整を定期的に行う必要があります。ストレートワイヤーに比べると一度の調整にかかる時間も長めの傾向。
関連記事:歯列矯正で定期検診が大切な理由とは?定期検診では何をするのか解説します
歯科医師の力量によって個人差がある
ループを用いたワイヤー矯正法は、患者さん一人一人に合わせて歯科医師が手作業でワイヤーを曲げて治療を行うため、すべての歯科医師が均一に取り扱えるわけではありません。
治療に当たる矯正歯科医師の技術によって、仕上がりが大きく左右される場合があります。クリニックによっては対応していないこともあるので、ループを用いた治療を希望される場合には事前に確認し、なるべく実績のある医院を選ぶことをおすすめします。
デメリットが気になるときは?
ループ装置の見た目が気になる方には、以下の方法がおすすめ。
- 裏側矯正
- マウスピース矯正
裏側矯正は、歯の裏側に装置をつけるワイヤー矯正の方法です。歯の裏側に装置をつけるのでそとからは見えず、矯正していることが非常にバレづらいです。ループを用いた治療を行うことも可能です。
ただし、対応している歯科医師は限られます。また、歯の裏側に装置をつけるため、舌を傷つけやすかったり、食事や歯磨きの難易度がさらに上がるというデメリットも。
その一方でマウスピース矯正は、患者さんごとにカスタマイズされた透明なマウスピースを、1日20~22時間装着し、1~2週間ごとに交換することで歯を動かすという矯正方法です。
目立ちにくいのはもちろん、マウスピースを取り外していつも通りの食事や歯磨きができるので、お口の清潔を保ちやすいことがメリット。また、通院頻度や通院時のチェアタイムもワイヤー矯正に比べると短い傾向があるので、忙しい人には特に人気です。
ただし、マウスピース矯正が適応ではない歯並びもあるため、歯科医にきちんと診断してもらうことが必要となります。
矯正治療の費用
費用面については、マウスピース矯正の方がワイヤー矯正に比べて安く済む傾向があります。矯正治療ごとの治療費の目安は以下のとおりです。
マウスピース矯正 | ワイヤー矯正 | |
表側矯正 | 裏側矯正 | |
10~130万円 | 60~150万円 | 100~170万円 |
※費用はだいたいの相場であり、歯並びの状況によってこの限りではありません。難しい症例ほど費用は高くなります。
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私の場合は歯列矯正でどうなる?
ご自身にとってどんな治療方法が最適なのか、歯列矯正で改善できるかなどを知るのは、歯科医師に相談するのが近道!
なぜなら歯や歯並びの状態は、歯根や歯の周りの骨、アゴや骨格などを総合的に見て、歯科学的な観点で考える必要があるからです。
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インタビュー・体験談
まとめ
ワイヤー矯正のループは、矯正治療を効率的かつ精密に行うための大事な要素です。個人の歯並びに合わせてワイヤーを曲げていくため、よりオーダーメイドの治療と言えます。
ただし、見た目が目立つことや口内炎などのリスク、歯科医師のスキルによって治療結果が左右されるといったデメリットもあるため、歯科医師と十分に相談をして適切な方法を選ぶことが何より重要です。
見た目や清掃性が気になる場合には、マウスピース矯正というのも選択肢の一つ。ご自身にとって最適な治療プランを見つけたいという方は、ぜひ一度カウンセリングにてご希望や心配事などご相談ください!
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関連コラム:歯列矯正は安くなる?矯正費用の負担を減らす方法5選!貯金無しでも始めたい人は必見!
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アットスマイル矯正では出っ歯やガタガタの矯正はもちろん、奥歯のかみ合わせの矯正にも対応しています。横顔のEラインでお悩みの方もお気軽にご相談ください。
治療内容:透明なマウスピースによる目立ちにくい歯列矯正です。
※千円以下の端数がある場合は、切り上げています。
※費用は治療当時の料金となります。
※自由診療となり保険は適用されません。
※歯並びによってはマウスピースによる治療が出来ない場合があります。
主なリスクと補足事項:
・歯の動きやすさには個人差があります。
・正しい装着方法で決められた時間以上装着しない場合は治療期間が長くなる可能性があります。
・咬合、歯肉退縮、歯根吸収等が発生する可能性があります。
・矯正箇所が元に戻る(後戻り)場合がありますので、治療完了後は後戻りを防ぐため、保定装置の装着が必要になります。
・装置装着後と通院における装置調整後は1~3日ほど痛みを伴うことがあります。
・歯の移動が大きい症例などには不向きです。
アットスマイル矯正を受けた人の声
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