歯列矯正

審美・美容歯科と矯正歯科。歯並びの見た目を変えたいとき、どっちを選べばいい？

更新日：2024.07.19 |
公開日：2024.07.20

近年では、より口元を美しくしたいというニーズのもと、一般的な歯科・矯正歯科とは別に、審美・美容歯科を専門とするクリニックを目にすることが増えてきました。

とはいえ、審美・美容歯科ではいったいどんな治療を受けられるのか、歯並びは治せるの？と疑問に思う人も多いでしょう。

そこで本記事では、口元の見た目を美しくするという観点で、審美・美容歯科と矯正歯科との違いや、それぞれどんな人に向いているかを徹底解説いたします。

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審美・美容歯科と矯正歯科の違い

診療内容の違い

審美・美容歯科では、主に見た目の改善に焦点を当てた治療を行います。美容外科で行うような施術ができるクリニックもあります。具体的な診療内容は以下の通りです。

ホワイトニング
ラミネートべニア
セラミッククラウン
インプラント
歯肉形成術
デンタルエステ
ヒアルロン酸注入、ボトックス注入などの美容医療　　　　など

※あくまで一例であり、すべての審美・美容歯科で取り扱っているわけではありません。その他の診療を行っているクリニックもあります。
※昨今では審美・美容歯科においても一般的な歯科治療や矯正治療を行っていたり、一般歯科・矯正歯科でも歯の見た目を改善する治療を行っているクリニックもあります。

矯正歯科では、主に歯並びや噛み合わせの機能の改善に焦点を当てた治療を行っています。ご自身の歯を活かして、正しい位置に移動させることにより見た目と機能を根本から改善することを目指します。具体的な診療内容は以下の通りです。

ワイヤー矯正（表側矯正・裏側矯正・審美ブラケット矯正・ハーフリンガル矯正など）
マウスピース矯正
部分矯正
小児矯正　　　　　など

※あくまで一例であり、すべての矯正歯科で取り扱っているわけではありません。その他の診療を行っているクリニックもあります。

矯正治療方法の違い

歯並びを治療する方法においては、審美・美容歯科では主に歯を削り、その上に人工物を接着することで歯の形を変えます。それを複数の歯に施すことによって歯並びの見た目を整えるのです。ただし見た目は整いますが、噛み合わせへのアプローチは行わないことがほとんど。

一方で矯正歯科では、矯正装置を用いて歯そのものを物理的に移動させることによって、歯並びや歯の向き・角度・噛み合わせなどを整えていくので、より根本的な歯並び治療と言えるでしょう。

治療期間・通院頻度の違い

審美・美容歯科の治療は比較的短期間で結果が見えることが多いです。歯並びの見た目を変える場合でも、歯を削ったあと、途中で何度か仮歯の調整があり、最終的なかぶせ物をセットするまで約1～3ヶ月程度ですむ傾向があります。通院も数回で終わることが多いです。

矯正歯科の場合、少しずつ歯を動かしていくため、期間は1～2年ほどかかることが一般的。その間、1～2ヶ月ごとに通院を続ける必要があります。なお、治療期間はもともとの歯並びやお口の状況などによって異なります。

一度に大きく歯を動かせないかと考えるかもしれませんが、無理矢理力を加えれば痛みはもちろん、歯に大きなダメージが加わって、歯がダメになる危険もあるのです。

費用の違い

審美・美容歯科の治療費は基本的には自費診療となります。

具体的な費用でいうと、例えばセラミックのかぶせ物は歯1本あたり10～20万円程であることが多いです。セラミックで歯並びの見た目を変えるため、上の前歯6本を治療するとトータルで約60～120万円ほどかかります。ただし、10〜20年経つとセラミックのかぶせ物は交換が必要になるので追加で同様の費用がかかります。将来的な予算感も考慮する必要があるでしょう。

また、美容目的の治療だと医療費控除も対象外となるケースが多いです。ただし、インプラントなど機能の改善を目的としていると判断された場合には医療費控除の対象となる場合もあります。

矯正歯科の場合も基本的には自費診療ですが、一定の条件に当てはまる場合にのみ保険適用となります。また、噛み合わせの機能の改善を目的と判断されれば、歯列矯正でかかったの検査料や治療費は、医療費控除を使える可能性が高いです。

参考：日本矯正歯科学会 - 矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは（外部リンク）

矯正歯科で行う歯列矯正の具体的な費用の目安は、以下の表のとおりです。もともとの歯並びのガタつきが大きくなるほど、矯正費用も高くなります。

マウスピース矯正	ワイヤー矯正
マウスピース矯正	表側矯正	白色矯正	裏側矯正
約10～130万円	約60～150万円	約80～140万円	約100～170万円

※これらはあくまで目安です。費用には個人差があります。

アットスマイル矯正の矯正歯科で治療を行った症例・費用例をご紹介します。

軽度の症例

中度の症例

重度の症例

治療内容：透明なマウスピースによる目立ちにくい歯列矯正です。
※千円以下の端数がある場合は、切り上げています。
※費用は治療当時の料金となります。
※自由診療となり保険は適用されません。
※歯並びによってはマウスピースによる治療が出来ない場合があります。

主なリスクと補足事項：
・歯の動きやすさには個人差があります。
・正しい装着方法で決められた時間以上装着しない場合は治療期間が長くなる可能性があります。
・咬合、歯肉退縮、歯根吸収等が発生する可能性があります。
・矯正箇所が元に戻る（後戻り）場合がありますので、治療完了後は後戻りを防ぐため、保定装置の装着が必要になります。
・装置装着後と通院における装置調整後は1～3日ほど痛みを伴うことがあります。
・歯の移動が大きい症例などには不向きです。

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痛みの違い

審美・美容歯科の治療は、比較的痛みが少ないことが多いです。

セラミックやラミネートべニアの施術において、歯を削っている間は麻酔が効いているので痛みはありません。しかし、神経の近くまで神経が生きている健康な歯を削った場合、のちに神経が痛み出す可能性があります。セラミックを被せる際は歯を削る量が多く神経の近くまで削る必要があり、それが刺激になりやすいからです。

矯正歯科で行う矯正治療は、歯を移動させる必要があるため、歯が動く際に発生する痛みや矯正装置による痛みを感じる可能性があります。

特に初めて装置をつけた時に最も痛みを感じやすいですが、時間の経過とともに慣れていくことがほとんどです。

見た目の変化の違い

審美・美容歯科は見た目の改善を目的としているため、歯並びの見た目はもちろん歯の色や形も患者さんの希望に合わせて変えることができます。

ただし歯そのものの位置は変わらないので、重度の出っ歯などのケースでは希望通りの見た目にならない可能性も。また、噛み合わせの改善も望めません。

矯正歯科では、歯の色や形は変えられませんが、歯の位置を根本的に変えることが出来るので、噛み合わせが整ったり、口元の突出感が改善して横顔のEラインが整う場合もあります。※個人差があります。

さらに、噛みあわせを整えることでアゴや顔の歪み・バランスが改善する場合もあるでしょう。

私の場合は歯列矯正でどう変わる？

ご自身が矯正歯科の治療でどう変わるか知るのは、歯科医師に相談するのが近道！

なぜなら歯の動きは、歯根や歯の周りの骨、アゴや骨格などを総合的に見て、歯科学的な観点で考える必要があるからです。

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インタビュー・体験談

歯への影響の違い

審美・美容歯科ではホワイトニングなどは歯への影響が少ないですが、セラミックやラミネートべニアなど健康な歯を削る治療では、歯のダメージは大きいと言えます。特に歯をたくさん削るために歯の神経を抜いたりするケースでは、歯がもろく折れやすくなったり、無理に歯の角度を変えるので噛み合わせた時にヒビが入ったりする可能性もあるでしょう。

また、虫歯に強いエナメル質を削ることや、人工物と歯の間に汚れが溜まりやすくなることなどから、虫歯や歯周病のリスクも高まってしまいます。

一方で矯正歯科では、歯を移動させるために力をかけますが、適正な力加減であれば歯へのダメージは少ないです。むしろ長期的にみて噛み合わせが良くなると、歯に過剰な力がかかりにくくなったり、歯磨きがしやすくなることでお口の健康を保ちやすくなるでしょう。

メンテナンスの違い

審美・美容歯科では、ホワイトニングした歯の色が後戻りしたり、かぶせ物が劣化したり割れたりするとその都度やり直しが必要になります。目安としては、ホワイトニングが半年～1年ごと、ラミネートべニアやセラミックは5～10年ごとが一般的。また、かぶせ物をするために削った歯は、非常に虫歯や歯周病になりやすいので、定期的にプロによるクリーニングを受けるのがオススメです。

矯正歯科では、矯正治療期間が終了した後も歯並びが後戻りするのを防ぐため、リテーナーという装置を使用し、歯の位置を維持します。リテーナーの装着期間は個人差がありますが、一般的には1～2年ほど装着することが推奨されています。その間は定期的にクリニックに通い、歯並びのチェックを受けることが望ましいです。