歯列矯正でするバイトアップって何？特徴や必要なケースを解説！

バイトアップが必要なケースとは？

左：裏側矯正　右：ハーフリンガル矯正

歯列矯正でのバイトアップは必ずしも行われるわけではありません。

ですが、歯にブラケットと呼ばれる金具を装着するワイヤー矯正で主に利用され、そのなかでも特に裏側矯正やハーフリンガル矯正で用いられることが多いです。

通常、ワイヤー矯正は歯の表側にブラケットを装着しますが、表側に金具があると目立つので歯の裏側にブラケットを装着して目立たないように矯正治療を行う方法があります。それが裏側矯正です。

ハーフリンガル矯正は、ワイヤー矯正方法の一つ。見えやすい上の歯は裏側に、見えにくい下の歯は表側に矯正装置をつけて治療を行います。

バイトアップは裏側矯正やハーフリンガル矯正で噛み合わせに問題があるケース、歯と矯正装置が当たってしまうと判断されたケースで行われやすいです。

バイトアップが行われる可能性のある歯並びについて解説します。

深いかみ合わせ（過蓋咬合）

過蓋咬合（かがいこうごう）とは、下の歯に覆いかぶさるほど上の歯のかみ合わせが深い歯並びです。「ディープバイト」「オーバーバイト」などとも呼ばれます。

正常な噛み合わせの場合、「イー」と口を開けたとき、上の前歯は下の前歯を2～3mmくらい覆っています。もし、下の前歯の2/3以上を覆っている場合、過蓋咬合という状態です。

もともとの噛み合わせが深いので、ワイヤー矯正のブラケットを装着すると歯に当たって外れてしまう可能性があります。バイトアップすることで本来の正しいかみ合わせの高さまで噛む深さを調整し、ブラケットが外れないようにします。

かみ合わせが深ければ深いほどバイトアップの量を多くする必要があるため、違和感をより感じやすいと言われています。

関連記事：過蓋咬合（深い嚙み合わせ）の歯列矯正ってどんな感じ？マウスピース矯正でも治せるの？

鋏状咬合（シザーズバイト）

かみ合わせは、上の歯が下の歯を覆っているのが正常な状態です。

鋏状咬合（はさみじょうこうごう）とは、ハサミのように上の奥歯が下の前歯の内側に入っているせいでしっかりとかめない、あるいはまったくかみ合っていない状態を指します。

奥歯でしっかりと噛むことができず、食事がしにくいです。さらに、頬の内側をかみやすいので、お口の中を傷つけたり口内炎になってしまうことも。

このかみ合わせもブラケットと歯が当たって矯正治療の妨げになってしまうことがあるので、バイトアップしてブラケットとぶつからないように調整することがあります。

交叉咬合（クロスバイト）

交叉咬合（こうさこうごう）とは、かみ合わせの一部が上下で逆になっている状態を指します。

原因は様々ですが、噛み合わせが逆になっているので食べ物を噛みづらい傾向があります。歯並びの一部が反対に噛んでしまっているため、放置すると口元やアゴに歪みが生じてしまう可能性もあります。

このケースでもブラケットと歯が当たってしまう傾向があるため、バイトアップで対応することがあります。

関連記事：交叉咬合は自分で治せる？実は大人になっても歯列矯正で治せます！顔の歪みはどう変化する？

バイトアップの費用や期間は？

費用について

費用はクリニックごとに異なるため、はっきりとした金額を申し上げることはできません。

クリニックでバイトアップの説明があった際は、費用はどれぐらいかかるかあらかじめ確認しましょう。

費用の支払い方法は来院ごとに支払う都度払い制と、まとめた金額を支払うトータルフィー制があります。トータルフィーを採用しているクリニックでは、バイトアップの費用が含まれていることが多いです。

バイトアップは基本的に裏側矯正、あるいはハーフリンガル矯正で行います。これらの矯正費用の中に含まれていると考えておくといいでしょう。

• 裏側矯正の費用目安：100～170万円
• ハーフリンガル矯正の費用目安：80～150万円

関連記事：歯列矯正の見た目が気になる…。目立たない矯正方法を徹底比較！自分にピッタリの矯正方法がわかります

期間について

バイトアップの期間は個人差がありますが、目安は3カ月～6カ月年程度です。長ければ1年前後バイトアップしていることも。

個人差はありますが、1～2週間で慣れる方が多いと言われています。

バイトアップ時の注意点

ストレスに感じやすい

バイトアップでは奥歯の噛み合わせが高くなるので、噛んでもほとんど上下の歯が当たらず噛めないということが起きます。そのため、唇が閉じにくかったり噛み合わせに違和感が生じやすいです。噛み合わせが普段と違うことでアゴが疲れやすかったり、頭痛や肩こりなど全身の不調となって現れてくることも。

全身状態の変化に加え、噛めないので食事がしづらい状況に陥りやすく、大きなストレスとなってしまう可能性があります。矯正治療を進める中で、このバイトアップが一番きつかったという方もいるぐらいです。

うどんやラーメンの麺類を噛み切れない、ほうれん草やキャベツなどの葉物がすりつぶせないといった食事のしにくさは、思いの他しんどく感じてしまうものです。厚みのあるお肉や、ゼリーやプロテイン、おかゆなど噛まなくてもいいものを食べるようにするなど工夫が必要になってきます。

ただし、数日から1週間程度で慣れてくることが多いので、全身症状も落ち着いて食事も平常通りに取れるようになるでしょう。そこまで不安になる必要はありません。

関連記事：歯列矯正中はプロテインを活用しよう！歯の健康にも役立つって本当？！

色が目立つことがある

バイトアップはクリニックによって使用するものは異なりますが、青色の材料を使用することが多いです。奥歯の噛み合わせの面に装着するので、大きく口を開けると青いガムのような見た目の材料が見えてしまう可能性も。

人前で喋る接客業の方や営業マン、プレゼンする機会が多い商社勤めの方などはバイトアップしているのが目立たないか心配になるかもしれません。

ただ、基本的には奥歯にのみ接着するため、口の中を覗くようにしないと見えません。相手に気づかれることはほとんどないでしょう。

むしろ、バイトアップよりも通常のワイヤー矯正のほうが目立つと感じることが多いです。

より丁寧に歯磨きする必要がある

ワイヤー矯正では、器具の間に食べ物が挟まりやすく、しっかりと歯磨きケアをしないと虫歯や歯周病の原因になってしまいます。

さらにバイトアップをしていると、噛む面がプラスチックなどの材料で覆われてしまうため、歯ブラシが当てにくく磨きにくさを感じやすいです。汚れが落とせていない事態も起こりやすく、より虫歯や歯周病のリスクが高くなるので注意が必要です。

そういったリスクを予防するためにも、食後は必ず丁寧に歯磨きを行いましょう。

バイトアップしなくてすむマウスピース矯正という選択も

ここまでバイトアップのコラムを読み進めてみて、噛み合わせを変えてしまうのが不安、歯磨きが上手くできる自信がないという方にはマウスピース矯正がおすすめ。

マウスピース矯正は基本的にバイトアップを行いません。さらに、ワイヤー矯正のように器具が歯に固定されておらず、取り外しが可能なので普段どおりに歯磨きすることができます。

食事もマウスピースを外してするので、バイトアップをして食べ物が噛めないというストレスを感じにくいです。

ただし、マウスピース矯正は自己管理が大切で、歯磨きと食事の時以外は常に装置を装着しておく必要がある点には注意してくださいね。

結局どっちがいいの!?という方もいるかと思います。下記コラムでマウスピース矯正とワイヤー矯正について詳しく解説しています。是非こちらも読んでみてくださいね。

関連記事：マウスピース矯正とワイヤー矯正はどちらが効果的？メリット・デメリットを一覧でご紹介

私の場合は歯列矯正でどう変わる？どんな治療が必要なの？

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まとめ

歯列矯正中のバイトアップは、ワイヤー矯正で矯正器具と歯がぶつかって器具が取れたり壊れたりすることを避けるために行います。必ずしも行うものではありませんが、ワイヤー矯正の中でも裏側矯正やハーフリンガル矯正で行われることが多いです。

かみ合わせを意図的に高くするため、違和感が生じやすく全身の不調や食事ができないといった大きなストレスに繋がることもあります。バイトアップを苦痛に感じる人がいるのも事実です。

もし、バイトアップをしなくてすむ方法をお考えならマウスピース矯正がおすすめです。マウスピース矯正では基本的にバイトアップを行わず、装置を取り外せるので通常通りの食事ができてストレスになりにくいです。

ただし、ご自身の歯並びがワイヤー矯正とマウスピース矯正のどちらで治療が可能なのかは個人によって異なります。まずはご自身の歯並びが現在どのような状態なのか、最適な治療方法は何かを矯正専門のクリニックに相談しましょう。

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※費用は治療当時の料金となります。
※自由診療となり保険は適用されません。
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主なリスクと補足事項：
・歯の動きやすさには個人差があります。
・正しい装着方法で決められた時間以上装着しない場合は治療期間が長くなる可能性があります。
・咬合、歯肉退縮、歯根吸収等が発生する可能性があります。
・矯正箇所が元に戻る（後戻り）場合がありますので、治療完了後は後戻りを防ぐため、保定装置の装着が必要になります。
・装置装着後と通院における装置調整後は1～3日ほど痛みを伴うことがあります。
・歯の移動が大きい症例などには不向きです。

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