間違って舌を噛んだときの痛みは計り知れません。しばらくズキズキしますし、ひどいと出血したり、口内炎になってしまうこともあります。それが何度も続くと気が滅入ってしまいますよね。
今回のコラムでは、舌を何度も噛んでしまう方に向けて、原因と対策、どうしたら舌を噛みにくくなるのかを徹底解説します。
舌の噛みやすさには舌の位置も重要なのですが、カンタンにセルフチェックできる項目もあるので、是非最後まで目を通してみてくださいね。
舌を噛んでしまう原因
舌を噛んでしまう原因はさまざま。一つの原因であることもあれば、以下のうち複数の要因が重なって起きることもあります。
- 筋力の低下
- 加齢
- 歯並び不正
- 低位舌
- 歯科治療によるお口の中の変化
- 疲れやストレス、寝不足、体調不良
- ドライマウス
- 肥満
- 塩分の取りすぎやお酒の飲みすぎ
- 歯ぎしりや食いしばり
- 顎関節症
- 何らかの病気で舌が大きくなる
ひとつずつ見ていきます。
筋力の低下
食事で噛む回数が少ない方や、口や舌をあまり動かさずに話すクセがある方は要注意!
口周りや舌は筋肉によって動きます。そのため、口元の筋肉を使っていないと衰えてしまい、動きが悪くなって舌を噛んでしまう原因にもなります。
加齢
加齢とともに舌の筋力は低下する傾向があるので、歳を重ねれば重ねるほど舌を噛みやすくなります。
歯並び不正
舌を噛んでしまう大きな原因の一つに、歯並びの悪さがあります。歯並びが悪いと、舌の動ける範囲が減るので舌を噛みやすくなります。
さらに、歯並び不正があると噛み合わせが悪い傾向があります。噛みやすいところばかり使ってしまうので、その部分の歯だけがすり減って口周りの筋肉のバランスが崩れやすくなることも。その結果、口が動かしにくくなり舌を噛む原因になってしまいます。
また単純に、歯並びのアーチよりも内側にはえている歯がある場合にも舌を噛みやすいです。逆に歯並びのアーチよりも外側に生えている歯があると、頬や唇を噛みやすくなる傾向があります。
歯並び不正には以下のようなものが挙げられます。
- 出っ歯
- 受け口
- 口ゴボ
- 八重歯・ガタガタの歯並び(叢生)
- 交叉咬合
- 開咬(オープンバイト)
- すきっ歯
- 深いかみ合わせ(過蓋咬合)
- 正中のズレ
低位舌
舌の筋力が低下すると低位舌を引き起こすことがあります。低位舌とは、舌の位置が正常な位置より低い位置にある状態のこと。
正常な舌の位置は、リラックスした状態で舌自体が上アゴに触れていて、舌の先は上アゴの前歯の裏側から少し奥に置かれています。
低位舌は、舌の位置が低いので舌を噛みやすくなるのはもちろん、歯並びが悪くなる原因になることもあります。
低位舌は滑舌や発音の悪さに繋がることもあるので、自分の舌のポジションは正常かどうかチェックしてみてくださいね。
歯科治療によるお口の中の変化
抜歯をしたり、詰め物やかぶせ物、入れ歯などの治療を行うと、噛み合わせが変わることがあります。人のお口の中は繊細なので、噛み合わせが微妙に変わってしまうだけでも舌を噛みやすくなることがあります。
疲れやストレス、寝不足、体調不良
疲労やストレス、寝不足や体調不良になると、脳の働きが低下します。
ふだん、私たちの脳は口の中と歯を上手に動かして舌や頬を噛まないようにコントロールしています。ですが、疲労がたまると脳からのコントロールができなくなって舌を噛みやすくなるといわれています。
ストレスがたまると無意識のうちに舌を噛むことが癖になるケースもあるので要注意です。
ドライマウス
唾液は舌をスムーズに動かす潤滑剤の役割もあります。唾液の量が減ると舌が動きにくくなり、舌を噛んでしまう原因になります。
肥満
舌は筋肉の塊なので、太ると舌肥大といって舌が大きくなることがあります。舌が大きくなると、間違って噛んでしまうリスクが高くなります。
また、太ると頬の粘膜に脂肪がつきやすいので、舌だけではなく頬の内側も噛んでしまう原因に。頬で唾液腺が圧迫されてドライマウスを引き起こすこともあります。
塩分の取りすぎやお酒の飲みすぎ
肥満だけではなく、塩分の取りすぎにも注意してください。塩分を取りすぎると舌がむくむことがあり、それが原因で舌を噛んでしまうことがあります。
お酒を飲みすぎる方も注意が必要です。アルコールを摂取することで腎臓や肝臓に負担がかかります。それらの機能が低下するとむくみやすくなります。
歯ぎしりや食いしばり
歯ぎしりや食いしばりのクセがあると、少しずつ歯がすり減ってしまいます。歯がすり減ってしまうことで噛み合わせがズレてしまい、舌を噛むリスクが高くなると言われています。
一日の終わりや朝起きたときにアゴが疲れている方は要注意!無意識に歯ぎしりや食いしばりをしている可能性があります。
顎関節症
顎関節症があると、口が開きにくかったり、アゴが動かしにくくなります。
口元やアゴの動きが制限されるので、舌を噛みやすくなる原因になってしまいます。
何らかの病気で舌が大きくなる
病気が原因で舌が大きくなってしまうことがあります。
最近になって舌を噛むことが増えたという自覚症状がある方は、病気を疑った方がいいかもしれません。
舌が大きくなる可能性がある病気としては、以下のものが挙げられます。
- 血管腫
- リンパ管腫
- 睡眠時無呼吸症候群
- 甲状腺機能低下症
気になる方は一度病院で診察してもらうようにしましょう。
舌を噛んでしまったときの対処方法
止血
舌を噛んで血が出ている場合は、まず止血をしてください。ハンカチやガーゼを当て、傷口を押さえて圧迫止血しましょう。
冷やす
痛みや腫れがあるときは、止血後に冷やして炎症を抑えましょう。
出血していなくとも内出血を起こしていることもあります。痛みが治まるまではなるべくその部分を使わないように注意しましょう。
口の中を清潔に保つ
止血後や、血が出ていなかった場合はすぐにうがいをして口の中を清潔に保ちましょう。
口内炎になってしまうこともあります。痛みや腫れが続いたり、口内炎ができてしまったときは痛み止めを服用したり、軟膏を塗って様子を見ましょう
食事に気を付ける
噛んだ部分は傷になっているので、食事で刺激物を食べるのは控えた方が無難です。そのほか酸味が強いものや辛いもの、熱すぎるものなども痛みが増す原因になるので避けましょう。
舌を噛むと口内炎になってしまうことがあります。口内炎にはるビタミンB2やビタミンB6が有効です。B2が豊富な納豆やまいたけ、B6が豊富なマグロ、鶏肉などがオススメ。
アルコール類やご飯やパン、うどんなど糖質の多い食べ物は消化するときにビタミンB群を消費してしまうので、食事の栄養バランスに気を配りましょう。
舌を噛まないためにできること
口周りを意識的に動かす
以下のような体操を行い、口周りを意識的に動かして筋肉を鍛えていきましょう。
- 口の中のさまざまな筋肉をトレーニングする「あいうべ体操」
- パ・タ・カ・ラの発音をすることでお口周りや舌の筋肉のトレーニングを行う「パタカラ体操」
他にも、口角をあげて笑顔を作るなど、表情筋を鍛える対策も有効です。
あいうべ体操
あいうべ体操のやり方はカンタンです。
- 「あー」と大きく口を開く
- 「いー」と口を大きく横に広げる
- 「うー」と口を前に突き出す
- 「ベー」と舌を思いきり下に伸ばす
1~4を1セットとして、食後に10回づつ、1日30セットを目安に毎日続けてみてください。声を出さなくてもOKですが、声を出したほうがより発音改善につながります。
顎関節の動きが悪い方は、負担が少ない「い」「う」からはじめてみましょう。
パタカラ体操
パタカラ体操は、口回りの筋肉を鍛えることで誤嚥を防ぐために作られたトレーニングですが、舌を噛まないようにするトレーニングとしても有効です。
- 「唇をしっかり閉じてから「パ」と発音する
- 舌を上アゴにくっつけて「タ」と発音する
- のどの奥を閉じて「カ」と発音する
- 舌を丸めて、舌の先端を上アゴの前歯の裏につけて「ラ」と発音する
「パ」は複数の表情筋、口輪筋や頬筋、「タ」「ラ」は舌筋、「カ」は口蓋帆挙筋を鍛えられます。
毎食前に各10回、「パ」「タ」「カ」「ラ」と一音ずつ発音してみましょう。
「パパパパ…」「タタタタ…」のように連続して発音する方法を取り入れるのも◎
頬杖や足を組むといった日ごろのクセを見直す
噛み合わせが悪くなる原因として、足を組む、頬杖をつく、うつ伏せで寝るといったことがあります。また、歯ぎしりや食いしばり、口呼吸や舌を押し出すといったクセがあると少しずつ歯並びが悪くなり、噛み合わせにも悪影響が出てしまいます。
放っておくと噛み合わせがズレて、舌を噛むことになるので、日ごろのクセは見直しておきましょう。
生活習慣の見直し
ストレスや睡眠不足が続く生活が続くと、慢性的な疲労を引き起こします。疲労が続くと脳も正常に働きにくくなり、舌を噛みやすくなる傾向があります。
有酸素運動や軽い筋トレなどで体を動かす習慣を作っておくこと、リフレッシュするための自分のストレス発散方法を見つけることが大切です。
暴飲暴食は避け、食事のバランスに注意しましょう。アルコールは控えめにすると◎
ガムやスルメなど、よく噛む必要がある食べ物は、噛む力が鍛えられ脳の活性化にもつながるのでオススメです。
ダイエットする
肥満を自覚していて、舌を噛みやすい方にはダイエットが有効です。
痩せることで舌の大きさが正常に戻って舌を噛みにくくなるだけではなく、フェイスラインもすっきりとするでしょう。
食事を抜くなど過度なダイエットには十分注意してくださいね。
噛み合わせの調整をしてもらう
歯科治療による噛み合わせの変化が原因で舌を噛みやすくなっている場合は、歯科医院で噛み合わせを調整することで症状が改善することがあります。
ただし、入れ歯やかぶせ物などは装着後すぐは違和感が強くても、だんだん慣れてくると噛み合わせの違和感が落ち着いてくることもあります。歯科治療をして数カ月違和感が続き、舌を噛む症状が治まらないときは噛み合わせに問題が生じている可能性が考えられます。速やかに歯科医師に相談しましょう。
歯ぎしりや食いしばりのある方は、ナイトガードを着用するなどして歯をすり減らさないように対策すると◎
歯列矯正する
歯並びが悪い自覚があり、舌を噛みやすい方には歯列矯正で歯並びを整えることが有効です。
歯が綺麗に並ぶので舌の動ける範囲が広がり、舌を噛みにくくなるでしょう。さらに、噛み合わせのバランスが整うことで、お口回りの筋肉のバランスも整います。舌やアゴが動かしやすくなるので、より舌を噛む回数が減るはずです。
個人差はありますが、歯列矯正すると間接的にダイエットに繋がることもあります。舌を噛みにくくなるだけではなく、口元が美しくなるので歯列矯正は一石二鳥の手段といっていいでしょう。
矯正方法には透明で目立ちにくいマウスピース矯正と歯に金具を装着するワイヤー矯正があります。どちらの矯正方法もメリットとデメリットがあるため、治療をする際は歯科医師と十分に相談してから始めるようにしましょう。
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無意識に舌を噛んでいるみたい…対策はある?
無意識に舌を噛んでいるときに気付いたときは、まずは舌のポジションを確認していきましょう。
リラックスしているときには、「スポット」と呼ばれる上アゴの部分に舌先が置かれています。
スポットは、舌先が上の前歯の裏側にあり、舌の表側が上アゴにくっついていて、上の前歯には触れていない状態を指します。
舌の位置が上アゴにくっついていない場合は低位舌の可能性があります。舌の位置を日ごろから意識しておくだけでも舌のトレーニングになるので、是非やってみてください。
上下の歯が触れ合っていないかも同時にチェック
このときに食いしばりをしていないか、同時にチェックしてみましょう。リラックス状態のとき、上の歯と下の歯は接触せずに2~3㎜程度すき間が空いています。
口を閉じているときに、上下の歯が接触している、あるいは噛んでしまっている場合は要注意!
食いしばりと言えば、ギュッと噛み込むイメージがありますが、リラックス時に上下の歯が触れ合っているだけでも常に筋肉が緊張している状態です。口元が疲れやすく、結果的に舌を噛みやすくなってしまうことも。無意識に舌を噛む原因に繋がりかねません。
まとめ
舌を噛む原因には様々なものが考えられ、原因によって対処方法も異なってきます。
特に舌を噛みやすく、歯並びが悪い方は歯列矯正をすることで舌を噛まなくなる可能性が高いです。歯並びが綺麗になって、舌も噛みにくくなったら嬉しいですよね。
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